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皮膚科

犬の皮膚病(膿皮症)

当院で治療している皮膚病のワンちゃんをご紹介します。
3ヶ月前からの皮膚のかゆみ、それに伴って徐々に脱毛が進行してしまったワンちゃんです。
このような場合には、どんな病気が考えられるのでしょうか?
※こちらは治療前のお写真です。

一般的によくみられる、かゆみの強い皮膚病には次のような物があげられます。

1. ノミアレルギー
2. 膿皮症(細菌感染)
3. マラセチア性皮膚炎(真菌感染)
4. 犬毛包虫症(ニキビダニ)
5. 疥癬症
6. 食事性アレルギー
7. アトピー性皮膚炎
8. その他

1~5までは感染症が原因ですが、6,7は身体の免疫機能に原因があります。
またそれぞれの皮膚病にはある程度特徴的な病変が観察される事が多いですが、それぞれ治療方法が異なるため、見た目だけで治療を開始するのは危険です。
また食事性アレルギーやアトピー性皮膚炎は、見た目や皮膚の検査だけでは確定診断する事はできません。

皮膚の感染症検査

皮膚スタンプ検査(細菌検査)

皮膚表面の細菌やマラセチアの感染を調べます。

皮膚掻爬検査(寄生虫検査)

皮膚内部や毛根周囲の寄生虫の感染を調べます。

被毛検査や細菌・真菌培養検査など

皮膚病変や治療の反応によっては、被毛検査や細菌・真菌培養検査などを実施します。

血液検査など

また治療の反応が悪く、再発しやすい場合には、基礎疾患として甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などのホルモン疾患が関与していることもあります。そのためそのようなケースでは血液検査などが必要になる事もあります。

今回の皮膚病変からは、細菌、マラセチア感染が認められました。

小さい点状のものが全て細菌です。
小さい点状のものが全て細菌です。
マラセチアは細菌よりも大きく、円形やダルマ型が特徴的です。
マラセチアは細菌よりも大きく、円形やダルマ型が特徴的です。

※他のワンちゃんから見つかった、犬毛包虫、疥癬の顕微鏡写真です。

ニキビダニ
ニキビダニ
疥癬
疥癬

今回の皮膚病は「2. 膿皮症」と、「3. マラセチア性皮膚炎」の混合感染による皮膚炎と診断し、内服薬・薬用シャンプーにより治療を開始しました。
また、皮膚のバリア機能や抗炎症作用をもつ栄養素を多く含んでいる「ロイヤルカナンのスキンサポート」も同時に開始しました。

治療

皮膚病変が広範囲であり、感染も強かったため約2ヶ月間治療を継続しました。
身体が大きいので週に1~2回のシャンプーでもスゴく大変ですが、飼主様は本当に頑張ってくれています!
今では内服薬は全く与えず、シャンプーとドッグフードを継続していますが、その後も被毛はどんどん戻っています。
※治療後のお写真です。(治療継続中)

同じような症状でも様々な病気が考えられます。また治療方法も異なります。
これは皮膚以外の疾患でも同じです。
少しでもおかしいなと思われたら、お早めにご来院ください。
できるだけ早期に原因をつきとめ、より的確な治療をする事が、結果的には早期の回復に繋がります。

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